基礎 /資金管理 /ATRで損切り幅を決める方法|ボラティリティ基準の考え方
資金管理 / ATR実践

ATRで損切り幅を決める方法|ボラティリティ基準の考え方

ATR(アベレージ・トゥルー・レンジ)とは、一定期間の平均的な値動き幅を示す指標のこと。固定した値幅を当てはめるのではなく、その銘柄が普段どれだけ動くかを入力にして損切り幅を決める、という手順を組み立てる。ボラティリティを基準に幅を算出し、そこから数量まで逆算する流れを段階的に整理する。

Author GRID 編集部
Updated 2026.06.12
Read 6分

本記事には広告・アフィリエイトリンク(PR)が含まれます。リンク経由の口座開設・申込等で当メディアが報酬を得ることがあります。掲載は情報提供が目的で、特定商品の取引を推奨するものではありません。

01 — ATRの基本

ATR(アベレージ・トゥルー・レンジ)とは、一定期間の平均的な値動き幅を示す指標である。当日の高値と安値だけでなく、前日終値とのギャップまで含めた「トゥルー・レンジ」を平均し、その銘柄が普段どれくらい動くかを1つの数値として出力する。ローソク足1本ごとの値幅を平均した数値、と捉えると扱いやすい。方向を判定する指標ではなく、動きの大きさ——ボラティリティ——を測る入力値として位置づけられる。

固定した値幅ではなくボラティリティを基準にする理由は、幅の意味が銘柄ごとに変わるからだ。同じ「50円」の損切り幅でも、普段10円しか動かない銘柄では遠すぎ、普段100円動く銘柄では近すぎる。ATRを入力にすれば、その銘柄の揺れ幅に合わせて幅が伸縮するため、トレンドの勢いや相場の状況が変わっても、幅を決める手順を一貫させやすいとされる。工程は3段階に分解できる。ATRの値を確認し、1.5〜3倍の倍率を掛けて幅の候補を算出し、許容損失額を幅で割って数量を逆算する。幅が広いほど数量を減らすのが整合的とされる。

ただし、ATRの何倍にすれば勝てる、という固定値は存在しない。倍率は検証で確かめるパラメータの一つであり、過去データでの挙動を確認してから運用の工程に乗せるのが前提とされる。ATRは幅を算出するための入力として使い、検証と資金管理の工程に接続してはじめて、ATR基準の損切りは手順として成立する。

POINT
幅と数量は一組の変数として扱う。幅を広げたら数量を絞る——リスクは「幅×数量」で決まるからだ。片方だけを変更すると、設計した損失の大きさが成立しなくなる。
注意 / WARNING
ATRの何倍なら勝てる、という固定値は存在しない。検証を挟まずに倍率を決めると、手順が数字合わせに陥る。倍率は検証で確かめるパラメータの一つとして扱う。
用語 / TERM
トゥルー・レンジ=当日の高値・安値に加え、前日終値とのギャップまで含めた実質的な値動き幅。その平均がATRである。窓を開けた動きも幅の計算に組み込まれる。

02 — 幅を決める手順

1
ATRの値を確認する
期間14を標準の設定とする。最初の入力として、その銘柄の平均的な1日の揺れ幅を数値で取得する。同じ値幅でも、動きの大きい銘柄と小さい銘柄では意味が変わる。ATRは、その差を数値化して手順の起点にそろえる役割を持つ。
2
倍率を掛けて幅の候補を作る
取得したATRに倍率を掛け、損切り幅の候補を算出する。1.5〜3倍の範囲が使われるとされる。近すぎるとノイズで切られやすく、遠すぎると1回の損失が大きくなる。どの倍率を採用するかは銘柄・時間軸によって変わるため、この段階では複数の候補として出力しておく。
3
許容損失から数量を逆算する
許容損失額を損切り幅で割り、持てる数量を算出する(許容損失額÷損切り幅=数量)。幅が広いほど数量を減らすのが整合的とされる。幅を先に確定させてから数量を求める順番にすることで、1回あたりの損失を一定の範囲に収める手順が組める。

03 — 倍率の整理

倍率の例性格注意点
1.5×ATR近い。ノイズで切られやすい短い時間軸で採用されることがある
2×ATR中庸の目安とされる銘柄のボラに応じて調整する
3×ATR遠い。1回の損失が大きい数量を絞る前提で採用する

損切り幅は気分で置くものではなく、その銘柄の「普段の呼吸」から算出する——それがATR基準の手順だ。

04 — よくある質問

倍率は何倍が正解?
一律の正解はないとされる。近い倍率はノイズで切られやすく、遠い倍率は1回の損失が大きくなる。どの倍率を採用するかは銘柄・時間軸によって変わるため、過去データで挙動を確認してから決めるのが基本とされる。数値そのものより、検証を挟んで選ぶという工程が要点になる。
ATRと%(固定率)はどちらがいい?
性質が異なる。固定率は常に同じ割合で幅を取るのに対し、ATRは相場のボラティリティに追従して幅が伸縮する。動きの大きい局面では自動的に幅が広がるのがATRの特徴とされる。優劣ではなく、相場変動に幅を追従させたいかどうかで使い分ける、という整理がよくされる。
ATRが急拡大したら?
ATRが急拡大すると、同じ倍率でも損切り幅が広がる。広がった幅に合わせて数量を減らし、「幅×数量」の釣り合いを取り直す手順が一般的とされる。幅だけを更新して数量を据え置くと、設計時より大きな損失になりやすい点に注意が向く。
損切りを置かない選択肢は?
損切りを置かないと、想定される損失が無限定になりうる。一般には、あらかじめ撤退の水準を決めておくことが前提とされる。幅の取り方に選択の幅はあっても、幅そのものを設けない運用はリスク管理の観点から慎重に扱われる、と正直に記しておく。
KEY TAKEAWAYS / まとめ
01ATRは平均的な値動き幅を示す指標。固定幅ではなく、その銘柄の普段の揺れ幅を入力にする
02ATRに1.5〜3倍を掛けて幅の候補を算出し、許容損失から数量を逆算する
03幅と数量は一組の変数。倍率は固定値ではなく、検証を挟んでから運用する手順にする
ATRで幅を決める手順
  • ATR(14)の値を確認する
  • 倍率を掛けて幅の候補を作る
  • 許容損失から数量を逆算する
  • 検証してから運用する
検証と資金管理へ

ATRで幅を算出する手順は、検証と資金管理の工程に接続してはじめて機能する。倍率を確定させる前に、過去データでの挙動を確認する工程を挟んでおく。

バックテストのやり方ボリンジャーバンドのスクイーズ検証テンプレート(準備中)